君桜
「…ハ、ァ…ッ!」
一度、離れたかと思うと、また、塞がれる。
あたしが苦しそうな息を漏らすたびに、離れては少しして塞がれる。
あたしの口を塞いでいるのは――――、何?
「…が、く…さん…」
瞳を開けると、学さんが息がかかる程至近距離であたしを見ていて、びっくりした。
「…苦しい?大丈夫か…?」
聞いたこともないような弱々しいほどの声を出した学さんに、感じたことのない感情が芽生えた気がした。
この人に、こんな顔をさせてはいけない。
みてるこっちが辛くなるから―――――…。
この気持ちは、何だろう…。
「…葉奈…」
何も答えないあたしを、すごく心配そうな顔をして覗き込んだ学さん。
「……苦しく、ない……」
気がつけば、さっきの苦しさはどっかにいっていた。
あたしがそう言うと、心配そうな顔が心から安心したような顔になって…、
「よかった…」
全身が温もりに包まれていた。
…あたしは、学さんに抱きしめられた…。
温かい。
優しい。
学さんの、全て、が。