君桜
スッと学さんが離れる。
「…?」
もう少しだけ、抱きしめていてほしかったなァ…。
そんなこと、口が裂けても言えないけど。
学さんを見上げると、街であたしたちに絡んできた女の人を見ていたような表情、恐ろしい顔で看護師を睨んでいた。
そうだ。
あの時あたしは、‘‘相堂組’’って感じたんだ。
「テメェ。葉奈に何言った」
学さん!
「学さん、いい!何も言われてないから!!」
学さんの低い声。
威圧感のある声。
何も言えなくなるような声。
お願いだから去ってよ!
あたしたちの前から、見えなくなって!!
看護師に目で訴えるけど、動こうとしない看護師。
だけど、その目は明らかに…、学さんに怯えている様子。
「おい、なんとか言えや!」
「学さん!!」
学さんの腕をぎゅっと抱きしめ、必死で止める。
「あたしは大丈夫だから!お願いだからやめてぇ!!」
あたしの声が反響する。
「……お前が大丈夫でも、俺が大丈夫じゃねぇんだよ!!」
「…え?」
どういう、こと…?