君桜



《‘‘お前’’が大丈夫でも、‘‘俺’’が大丈夫じゃねぇ》



あたしが、大丈夫、でも、学さん、が―――?


どういうこと?


「葉奈に何言った。言えよ」


じりじりと看護師に近づいて行く。


看護師は恐る恐る学さんが近づく分、離れていく。


でも、学さんに、学さんの瞳に捉えられたら…逃げられないことをあたしは知っているから。


この看護師も逃げられないんじゃないか、とこの状況で冷静に分析していた自分に驚いた。


「……めてよ……」


お願い、やめてよ―――――。


「余計なこと言って、コイツ苦しめたらぶっ殺すぞ!!」


――ダンッと何かが壁に押し付けられる音がした。


…看護師が押さえつけられている。


学さんは、片手で、押さえつけていた。


学さんは今、何に腹が立ってるの?


あたしがあんなことになってしまったから?


あたしのせいなの?


「ごめ、なさ…」


さっきの威勢はなく、弱々しい声。


「謝れば済むってもんじゃねぇだろーがよ。あぁ?」


「すいませ…」


「看護師だろーが、テメェはよぉ。苦しんでる患者に気付かないでそれを目の前に淡々と自分の意見述べてんじゃねぇぞ!!」


――ガッ!!学さんが病室の壁を殴る。


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