君桜
その袋に入っていたものを身につけて、学さんがいるであろうリビングへと足を運ぶ。
「お、上がったか?」
黒い大きなソファに座って煙草を吸いながらテレビを見ていた学さんがあたしのほうを振り向く。
改めてだけど…、ホントに恐ろしく綺麗な顔をしている。
「学さん、着替え…」
いつの間に買ったの?
「ああ、それ?そこら辺にあった」
ンな訳ないじゃん!
独り暮らしの男の人の家に、女の着替えが一式‘‘そこらへん’’にあるわけないじゃん!
と、思ったけど、突っ込まないことにした。
シンプルに、モノクロで統一された綺麗な広い部屋。
最上階なだけあって大きな窓から見える夜景はすごかった。
宝石箱をひっくりかえしたみたい…
思わず見惚れてしまった。