君桜
…でも、きっと…学さんもあたしのことをそのうち見捨てる。
そうなれば、あたしはホントに…どこに行けばいいんだろう。
お金なんか、持ってない。
お金になりそうなものなんか、持ってない。
あたしの行き先なんて、
学さんに見捨てられた時のあたしの行き先は―――……
明るいものなんて見えない。
「葉奈」
ハッと学さんの声で現実に戻される。
「…あ…」
「余計なことは考えるな」
余計な、こと。
学さんにとっては‘‘余計なこと’’かもしれない。
でも、あたしにとっては‘‘大事なこと’’。