水恋
表以上にバタバタとしている裏方から帰って来た瞬間
ガッシャーーン
ガラスの割れる音が、響いた。
どうやらメイドがグラスを落としてしまったようだ。
「す、すいません!」とその子は、急いでガラスを拾い上げようとする。
「ダメ!」
急いで、私はその子の手首を掴んで、拾い上げようとするのを止めた。
「き、木ノ下君?」
「素手ではダメだよ。奇麗な手が、傷ついてしまう」
女子がぽかんと、口を開けて「う、うん…」と答える。
「木ノ下!」
他の執事の男子が、ほうきとちりとりを持って来た。
「サンキュー」ほうきとちりとりを受け取る私。
そしてメイドの女子に向き直る。
「君、確か、俺の着物を作ってくれた、笹島さんだよね?仕事に戻って。俺が、片付けるから」
「えっ、いいの?」
「良いから。早く。お客さんを待たせるメイドは失格だよ?」
「あ、ありがとっ!」
笹島さんは頬を紅潮させて、仕事に戻った。
そしてそれを黙って一部始終見ていたお客と執事とメイド達。
プラス、廊下の通行人