前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



こうして手料理をもぐもぐする俺をジーッと見てくる御堂先輩に「心配しなくても」美味しいっすよ、と笑顔を向けた。

イマイチ信用されていなかったから俺はほら、と鮭の切り身を箸で摘み、相手の口に入れてやった。

「美味しいでしょう?」彼女に聞くと、「悪くないかもしれない」と彼女が照れ顔を作った。

お味に納得し、俺の言葉に信用を持ったようだ。

「愛情篭ってますよ」

今度はお弁当を作って下さいね。

俺の言葉に気を良くしたプリンセスは、いつもの口調でまずは豊福が作るべきだとのたまった。

次いで、料理が上達したら愛夫弁当を作ると彼女は笑顔を作る。


「なんで愛夫弁当なんっすか。愛妻弁当の間違いでしょう?」
 
「豊福は未来の妻で、僕は夫だぞ? 表現に誤りはないんだ」


そう言ってごろんと寝転がり、食べている人の膝に頭を乗せてきた。


「あ。また甘えて。俺、食事中っすよ」


注意しても知らん顔の我が王子。

まるで猫のように擦り寄ってくる。


ご両親が目前にいるのに、婚約者に呆れつつ俺は手料理を作ってくれた礼を告げる。


ご機嫌な王子は、お礼はキスでいいからなと無茶振りを言ってきた。

ほんっと調子のいい婚約者っすね。
 

ちなみに幸か不幸か、一子さんがこっそりスクランブルエッグをお味見。

衝撃のせいで背筋が伸び、すっごい顔をして俺を見てきたのは御堂先輩には内緒である。
 

実は彼女の手料理、スクランブルエッグはまんま砂糖を食べているみたいだし、おにぎりは究極にしょっぱいのである。


俺の食した中でいっちゃん鮭が美味しかったから御堂先輩に食べてもらった。

うん、これで他のも食べてみたいとか言われたら俺の努力も水の泡になっていただろう。

これも彼女に対する俺の愛情だよ!
馬鹿正直に答えるだけじゃ優しさじゃないだろ!
  
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