前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
……もっと気軽な関係でいようよ、さと子ちゃん。
友達感覚で誘ったのに、すっかり主従関係を醸し出している彼女は気合を入れていた。
その気合が空回りしないことを願いつつ、俺は彼女と学院の敷地に足を踏み込む。
今日は日曜。
学校は休みだというのに、正門を潜ると聖ローズマリー学院の生徒であろう女の子達がチラシを配ったり、チケットを販売したり、声出しをして舞台案内をしていたりと賑わいを見せている。
お客さんも結構いるようで、俺達のような学生さんもいれば、生徒が家族を招いているのか、中年のおばちゃんや朗らかな表情をしているおじいちゃん等など身内らしき人物が見受けられる。
一般人も多いみたい。
学生の舞台にしては注目を浴びているようだ。
「どんな舞台をするんでしょうね。あ、空さま! パンフレットが無料配布されているみたいです! ちょっと取ってきますね!」
敷地に入ってからそわそわしっぱなしなさと子ちゃんは、俺の返事を待たずしてパンフレットを取りにダッシュしてしまう。
さと子ちゃんの格好は普段見ている着物と違い、可愛らしいジーパン生地の短パンにチュニックと重ね着ファッションをしている。
まさに現代っ子だ。
だからこそ全力Bダッシュできるんだろう。
二人分下さい、と満面の笑顔でパンフレットを求めていた。
こんなことなら博紀さんも誘うんだったな。
こういうイベントで親密度って上がるもんだろ?
でもあの人も忙しそうだしな。
「空さま! パンフレット、貰ってきました!」
キラキラした目で俺を見上げてくるさと子ちゃんに一笑して、ありがとうと資料を受け取った。
ぱらっと捲り軽く立ち読みしてみる。
ふむふむ、なるほど。舞台は中世ヨーロッパをモチーフにした王族貴族物語。
わぁ、革命を起こす貴族達の話か。凄いな、凝ってる。
えーっと先輩は確か、王女役だったよな。
あ、そうそう。
付属校の男子校と合同でやる舞台だって前に先輩が言っていた。
前に何が悲しくて男に口説かれないといけない! 横抱きにされないといけない! とか嘆いていたもんな。
主役はとある下級貴族の長男。
御堂先輩は王族の王女で二人は幼馴染……ヒロインとまではいかないけど、準メンバーとして活躍するみたい。ますます舞台が楽しみだな。