サクラドロップス

「ユキさん?」

驚いた顔の、安藤。

そりゃあそうよネ。

普段から年下は恋愛の対象外と公言してるアタシが、どう見ても10代のオトコノコに抱きついてたんだから。

ツバサくんを見た瞬間、安藤の存在をすっかりと飛ばしてしまったアタシが何も言えずにいると···

ツバサくんはアタシをポールに座らせてから

「コンバンハ。ユキさんがお世話になったみたいで。ボク、ユキさんの母方の従兄弟のまた従兄弟の親戚のはとこの今野ツバサです」

と、言って、ニコッと、安藤に笑いかけた。

それを聞いて、変にマジメな安藤は

「えっとユキさんのお母さんの従兄弟の親戚の?」

と、言ってスーツの胸ポケットから手帳とペンを出してメモをとろうとしたので。

ツバサくんは

「母方の従兄弟のまた従兄弟の親戚のはとこの長男の嫁の末っ子の次男の今野ツバサ···まあ難しいんで、遠い親戚でイイです」

と、言って、クスクスと笑って、アタシにウィンクをして見せた。

それを普通は、他人と呼ぶのよネ。

アタシとしては···別にツバサくんのコトを安藤にどう思われても良かったんだけど

ツバサくんがあんまり楽しそうに安藤をからかうから、何だかアタシまで笑ってしまった。

「そうなの、ウチ、親戚多いの」

ツバサくんに、あわせるアタシ。

しかも今野ツバサって···某アイドルユニットの片割れの名前ですケド。

ここにいるツバサくんの方が、断然ステキだけどネ。


< 119 / 254 >

この作品をシェア

pagetop