サクラドロップス

「そうなんですか?ウチもばーちゃんの兄弟が多いから、なんかわかります。盆とか正月とか、すごい人数集まるんで。また従兄弟とかはちょっと、オレには誰だかわかりませんケド」

ええ、アタシも知りませんけど。

そして多分、ツバサくんもネ。


『家が近所で、ユキさんのお母さんにボディーガード頼まれてるんです』


とかなんとか言って、ツバサくんは単純な安藤をすっかり信用させると、待ち受けのモモちゃんを見せてもらってから安藤を改札に送った。

安藤は気に入った相手にはモモちゃんを見せるクセがあるらしい・・・


「いーヤツじゃん?ユキさんモテモテだよネ?さすがクールビューティー」

少しだけ会話をして安藤を送ってから

ポールに腰掛けたままのアタシの隣に座って、悪戯気に笑いかけるツバサくん。

「・・・そんなことないもん」

「え?やなヤツなの?」

「そーじゃなくて!安藤のコトじゃなくて・・・アタシ別に、もててないし!もてたくもないもん」

「世の女性の皆さんを敵に回すようなコト言わないでよ」

「ホントよ、アタシ別に、もてなくたってイイんだもん」

そうよ

アナタが、側にいてくれたら

アタシは、それだけでイイの。


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