サクラドロップス

そう言ったアタシの瞳は、潤んで、いたのだろうか・・・

ツバサくんは一瞬だけ、切なそうに綺麗な眉を歪めると

「そっか・・・」

と、言って、そっとアタシの肩を抱き・・・

「足、治まった?大丈夫なら、ゆっくり、歩いて帰ろっか。サクラが待ってる」

と、優しい笑顔を見せてくれた。

アタシはコクリと頷いて、ツバサくんの手を借りて歩き出す。

「痛かったら、おぶって帰ってもイイし。あ、なんならお姫様抱っこでも」

「・・・いい。歩いて帰る」


このまま、ゆっくり、できる限り、ゆっくりと

2人で、並んで歩きたい。


「うっわ、ソッコー拒否されたし!」

クスクスと笑いながら、ツバサくんは繋いだアタシの手に、ギュッと力を込めた。


『うん。大丈夫、解ってる』


まるで、そう答えるみたいに・・・


< 121 / 254 >

この作品をシェア

pagetop