ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
八木原くんは楽しそうに笑うと、一瞬で私へと顔を近づけ頬にチュッとキスをした。


「ちょっと……!」

「かわいー。メイちゃんかわいー」

「も、そういう冗談やめてよ……」


年下の男に翻弄されて泣きたくなる。

振り回されるのは水嶋だけで十分……、もとい水嶋にだってゴメンだ。


「俺さー、三ヶ月前に彼女と別れちゃって」


不意に前を向いたまま八木原くんがポツリとつぶやく。

ドキッとした。


同じく三ヶ月前、私も彼氏に別れを告げたから。


「俺が悪いんだけどさ、フラれて結構ショックで」


――悪いのはお前の方だろう。


悪いのは、浮気をされるような女の私で。


「しばらく彼女とかいいやって思ってたんだけど」
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