ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
もう恋なんかしないって思ってる。

八木原くんと自分の気持ちがシンクロした気がして一気に切なくなった。


「でもやっぱ寂しいじゃん?」

「……うん」

「もう恋しないとか言ってもいいなって思ったら気持ち傾いちゃうじゃん?」

「……かな」

「いいなって思う子がいたらガンガン行かなくちゃ損でしょ」

「……」

「やっぱ前の恋を忘れるには新しい恋っしょー」

「ごめん、途中からシンクロできなくなった」

「ん? シンクロ?」

「……なんでもない。八木原くんって前向きだなあって思って」

「あ、もしかしてメイちゃん前の彼が忘れられない系だ?」

「……そんなんじゃないけど」


ただ苦しいだけ。

グラスに残った薄まったオレンジ色をキューッと喉に流し込んだ。
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