ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
そんなことを思っていたから油断した。


ふと気配を感じると八木原くんの顔がすごく近くにあって。

そのまま避ける間もなく唇が重なった。


離れようと思って八木原くんの胸を押したけれど、不安定なジャングルジムの上で力を入れることができない。

逆に八木原くんは私に体重をかけるように被さってきて後頭部を押さえられる。


「んん……っ」


胸をドンドンと叩いて抗議したけれど彼が離れることはなかった。


そのまま舌を差し込まれて強引に絡めてくる。

息苦しさで目に涙が滲んだ。


もう、何やってるんだろう私。


頭を支配するのはそんな冷めた台詞で。

熱情に火をつけようとする巧みなキスに応えることはないけれど、抵抗はどこかあきらめ気味になる。


私の力が抜けたのを良い方向に捉えた彼は、そのまま私をギュッと抱きしめてきた。
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