ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「……」

「……」


だから気まずいんですけど。

沈黙が続いて視線をあちこちにさまよわせる。


なんで水嶋はまだここにいるんだろう。

ていうかそもそも何しにここへ来たんだっけ?


そんな疑問にいきついたとき、私の手の中からチェック表を挟んだバインダーがスッと抜き取られた。


「あとどれ?」

「……へ?」

「どこやんのかって聞いてんの」

「……こ、こっちだけどなんで」


私の問いには答えずに水嶋はチェック表を一枚抜き取るとバインダーを返して、少し離れた棚に向かった。

在庫チェックを手伝うつもりらしい。


「……い、いいよ! 私が」

「やってたら二時間でも終わんねえだろ」
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