ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
サキちゃんは私達共通の高校の友達。

水嶋の口から地元の友達の名前が出ることで、私の胸は今度は不安でざわざわと騒ぎ始めた。


「結婚するんだって。知ってた?」


結婚という単語にドキンと心臓が跳ね、それからぎゅうっと苦しくなった。

それと同時に、友達のめでたい情報にさえ気分が落ち込む、こんな自分が嫌になった。


「し……らない。今でも連絡取り合うほど、仲良くなかったし」

「あ、そ」


平然を装ったけれど、私は今、どんな表情をしてるんだろう。

きっと強張ってるな、そう思うから水嶋の方が見れなかった。


チンと鳴る音声に心底ホッとした。

目の前のドアが開いて密室から解放される。


嫌だ、嫌だ。

やっぱり水嶋といるのは嫌だ。


いつ、自分の話が振られるかもしれない。

自分の中の防衛本能が全力で水嶋の存在を拒絶していた。
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