空を翔ける一筋の流れ星
机の上にノートを広げ、威勢よく座ってペンを持ったまでは良かったものの、肝心のそこから先の行動が続かない。

テストも全て終わり、晴れて夏休みに入ったというのにレポート三昧で今から少しずつ手をつけていかなければ終盤に涙を見る。

去年も一昨年も同じことをしてきたので、三年目の今年はさっさと終わらせようと思ってはみたが全くと言っていいほどペンが進まない。


「翔さん、レポートするならするで集中したほうがいいですよ」


それは分かっている。

分かっているが、部屋にいるとまだ夏休みが始まったばかりと安心して漫画やテレビを見てしまう。

かと言って、この暑さのなか学校や図書館に行こうと思う気がしない。

第一、もう夕方の六時だから図書館は着いたところですぐに閉まってしまう。


「はあ」


ため息をついて後ろに寝そべろうとしたとき、机の上に置いてあった携帯電話が鳴り響いた。


「もしもし。

レポート?

進んでいるわけないだろ」


着信相手は妃來だ。

さすがは妃來で、俺がレポートに全く手をつけていないということを見透かしていて、わざわざ電話してきたのだ。


「で、わざわざ馬鹿にするために電話してきたのかよ」


そんなことはないと分かってはいるのだが、妃來のこのあとの行動も分かっているだけに素直になれない。
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