恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 そして、信号で車が止まったとき。

「俺、あの子には何も話してないぞ」

「じゃあ」

「大学の後輩なんだ。それだけだよ。付き合うつもりもない」

「そっ……そうなの」

 付き合うつもり、ないんだ。

 ふーん、そっか。

 車は見慣れた道へとやってきた。

 別れの時間が近い。

「でも江藤さんは、大輔のこと好きみたいよ」

「知ってる。でも、お断りした」

 告白、されたんだ。

「お断りって……ふーん、そうなんだ」

「俺は……」

 ププッ!

 後続車のクラクション音で、信号が変わったことに気付いた。

 言いかけたまま、車は走り出す。

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