恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~



「ねえ、梨香」

「何よ」

「梨香って、この店に週何日くらいいるの?」

 健吾の店のカウンターでお酒を飲みながらそう聞くと、

 梨香は答えに詰まっていた。

 私がこの店に立ち寄ると、必ずと言っていいほど梨香はいる。

 梨香に会いたくなったら、私は自然とこの店に立ち寄るようになっていた。

「さあ。数えてないからわからない」

 梨香は誤魔化すようにそう言ってるけど、

 きっとほぼ毎日ここに来てるんだと思う。

「梨香は私のことモラトリアムって言うけどさ」

「だってそうじゃないの」

「梨香だってモラトリアムだよ」

 梨香は反論しなかった。

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