恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~



 12月になった。

 冬の風を微塵も感じさせないオフィスで、

 私は今日も伝票と戦う。

「もー! 絶対今日中なんかに終わらない!」

 なんて課長を目の前にすると言葉に出すことはできず、

 心の中で叫びながらバサバサと伝票を捌き続ける。

 ふと大輔に目をやると、彼は彼で何かの書類を顔色一つ変えずに捌いていた。

 課全体が慌しい毎月の一日。

 午後の訪れを知らせるチャイムと共に、

 束の間の休息が許される。

 そこに立ち上がった課長が、例のように声を上げた。

「みんな、ちょっと聞いてちょうだい」

< 257 / 280 >

この作品をシェア

pagetop