SCHUTZENGEL ~守護天使~
「キヒヒヒ、ようこそ我が主(あるじ)」

 そいつは下品な笑みを浮かべて発した。

「うっ!?」

 背筋から冷たいモノが流れるが、突然の恐怖に叫び声はおろか動くことも出来ずにいた。

 そいつが、ゆっくりと歩み寄ってくる。

 ニヤけた表情を貼り付けて、その瞳に狂気を宿しながら。

 青年は小刻みに体を震わせるが、足はまったく動こうとはしなかった。

 一メートルの距離まで迫った刹那──

「ギィヤアァァァァ!?」 

 アスファルトに鈍い金属の弾かれる音が鳴り響き、そいつは悲痛な叫びを上げた。

 細長い棒のようなものに貫かれたそいつは断末魔の声を上げて消えていく。

 よく見るとそれは槍のようだった。

 そして、もう一度会いたいと思っていた相手の美しい声が聞こえた。
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