恋のはじめ
人の死を、こんな間近で見ていると、二年前のあの日が脳裏をよぎる。
次々に倒れていく浪士達。
その中で、同じように倒れている父の姿。
次は、私の番・・・・
そう思った次の瞬間、誰かの刀が咲希の肩を掠った。
「きゃあっ」
その場に倒れこむと同時に、顔を上げた。
そこには、血に飢えたような浪士が一人。
「ちっ掠っただけか」
「ひっ」
いつの間にか背中には壁。
殺される。
だが、体は硬直して動かなかった。
そして、
「覚悟しろ!!」
言って浪士は刀を振り上げた。