恋のはじめ
襖が開いていて、中庭から入る風が咲希の髪を揺らす。
前髪がふわりと浮き、大きな瞳がはっきりと現れる。
「それに、こんな女みてーな奴の剣術の腕がいいとは到底思えない」
咲希の小柄な身体を見下す土方に、苛立ちを覚え、立ち上がった。
「それは私の腕を見てから言ってもらいたいものです!!」
煽る土方と興奮する咲希を止めることができるのは、この部屋では近藤だけ。
「まぁまぁ」と二人の間に立ち、とりあえず落ち着きを取り戻させる。
「トシ、私は咲希くんの理由でも入隊してもいいと考えるが・・・」
「何故」
低い声で言う土方に少しばかり恐れを成す。