恋のはじめ
「待ってくれ、近藤さん。そんな簡単に決めていいのか」
近藤に目も向けず、そう言った。
「俺は私的な感情を理由で新選組への入隊は許可できない」
「な、何故ですか!?」
完璧な理由だと思っていた。
本当は新選組に殺された。
新選組への復讐を、攘夷浪士への復讐に変えてしまえば、彼らと目的は同じになると思っていた。
が、土方には甘かった。
「別にうちに入らなくとも、その志士に復讐する術はあるはずだ。お前は新選組を利用しようとしていると俺は見る」
「そ、そういうわけでは・・・・」
たじたじと否定はするものの、土方の言葉に勝る言い訳が思いつかない。