恋のはじめ
もし父を殺したのが沖田だったら厄介そうだ。
咲希の脳裏に黒く微笑み、見下した沖田の姿が浮かんだ。
到底斬れる気がしない・・・・
沖田ではないことを願いながら、沖田の部屋を目指す。
咲希は屯所の廊下を歩き回った。
だが、一向に沖田の部屋へ辿り着く気配がしない。
「あれ、部屋……どこだっけ?」
なんせ昨日来たばかり。
沖田の部屋なんて知るはずがない。
直談判した時は近藤の部屋だとは分かっていたが、なんせ同じ柄の襖ばかり。
もはや近藤の部屋すら分からない。