恋のはじめ





むしろ自分達の部屋さえも分からなくなってきた。



迷子だ。




「ありえない」






疲れてはないのに、息切れがしそう。




広すぎる屯所。





道を聞こうも、ここは町中ではない。





きっとただ羞恥をさらして終わるだけだ。






「あーもう」






頭を抱え、全てが面倒に感じる。






もういっそのことバレてもいいから暴れて逃げようか。






そんなことを考え出した時だった。







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