恋のはじめ
巡察終わりの勝手場。
事件は起きた。
「あの・・・沖田さん、何してるんですか?」
「え?料理だけど?」
「沖田さんって、天才剣士とかなんとかって呼ばれてるって聞いたことあるんですけど・・・・」
「へー僕そんなん呼ばれてんだ」
「いや、だからですね・・・」
引き気味の咲希の声と、のんきな沖田の声が交差して、ぐつぐつと煮込まれている鍋から出る湯気と一緒に上へ上がる。
瞬間、咲希の叫び声が屯所中に響き渡った。
「何で刀は使えるのに、包丁は使えないんですか!?」
さすがの沖田も驚いて、大根を切ろうとしていた手を止め、ゆっくりと咲希を見た。
「いや、何か切れ味悪いしこれ・・・」
「これ研いでないでしょ!!こんな包丁で切れるわけないじゃないですか!!」
「そんなこと・・・僕に言われても困るんだけど・・・」