恋のはじめ




ああ言えばこう言うとでも言おうか、大声を出す咲希に沖田は身を縮めて答えた。




「あーーーもっ」




返す言葉がなくなり、イライラが募る。




「私、作ってますんで包丁研いできてもらっていいですか!?」



投げやりな言い方。




それに沖田も何かがおかしいと感じたのだろう。




「何それ、命令?一応僕のが上・・・」




「何か?」




文句を言おうとした沖田の台詞に被せ、黒いオーラを放った。




「はいはい。包丁研ぎね。すればいいんでしょ」





こちらも完全投げやり。




沖田が包丁を片手に台所を出ると、ピリピリした空気がそこで二手に分かれた。




そして、良いタイミングでお互い見えないところでため息が重なる。





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