恋のはじめ




「お前は今日、炊事当番じゃなかったか?」




「今まさにその仕事中」




斎藤へ向けていた顔を包丁へと戻し、言いながら手を動かす。




「・・・・・には見えないのだが」




「あの子に言われてね」




「・・・・・島原咲希?」





少し間を置き、咲希の名前を口にする斎藤と沖田との間に、一瞬微妙な空気が流れた。




二人ともそれを一秒足りとも逃さなかったが、あえて受け流す。




「あの子ね・・・・」




笑いを含んだ沖田の微妙な返事。




それから再び斎藤へと目を向けた。




「面白い子だよね」




何を考えているのか、一瞬黙り込む斎藤。






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