恋のはじめ
「さて」と気を入れ直し、咲希は限られた食材を前に腕をまくった。
島原屋の娘として、客に出す料理の手伝いくらいしてきた。
料理は一人前とは言えないが、そこそこ出来る。
小さい頃母もなくし、基本家事全般こなしてきた咲希としては、こんなありえない台所初めてだった。
とりあえず沖田のせいで少々時間を無駄にした。
咲希は出来る限りの速さで夕食を作っていった。
一方沖田はというと、裏庭で包丁研ぎ。
ぶつぶつと未だに咲希への文句を吐いていた。
ところどころ聞こえる声に釣られ、一人の男が寄ってきた。
「総司?何をしてる?」
「一くん?」
沖田の背に立っていたのは、三番組組長斎藤一であった。
「見ての通り、包丁研ぎだよ」