ワケがありまして、幕末にございます。
「…うわ」
「見た早々ソレかよ」
風呂に入ったのだろう、さっきと違って血の臭いが薄くなった彼が縁側にいた。
「お疲れ、怪我してないだろ」
「怪我したのか、って聞くところじゃねぇのか、普通。
しかも確定してんじゃねぇか」
「お前がただの女に殺られるとは思ってないから」
アタシがそう言うと顔が一気に鋭くなる。
「…何故知ってる」
「ん〜…天才の力?」
「………」
「嘘、文に夜会う、って書いてあったの見たからな」
あと、血と一緒に女の甘い匂いがしたから。
あの手紙の送り主はもうこの世にいない。
土方を殺そうと女を使ったのが、今回のあちらさんの作戦だったのだろう。
まぁ、アタシが倒したあの男がそれを吐かなくても土方は絶対その作戦を見破っていたと思うけど。