ワケがありまして、幕末にございます。






「それ以上は俺が言う。
近藤さんはもう部屋で仕事してくれ」




お前はいい加減離してくれ。




「すまないトシ…」




すまないのはアタシの頭だ。


痛いしムカつくしムカつく。


もっと言うならスッゴいムカつく。

くそぅ、後で覚えてろ土方。




「…市村」


「あ?」




お、頭が軽くなった。


首を鳴らしながら土方を見ると、鋭い瞳がアタシを映す。



こういう目をする時の土方は鬼、だ。


さっきの遊びの鬼じゃない、本気の鬼。



でも―――






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