ワケがありまして、幕末にございます。





目的の場所にたどり着くと鈍いうめき声が聞こえた。


此処には土方がいる。

かといって土方が苦しんでいるワケではない。




「ぎィやあああアァぁああ!!!」




声の主は古高なのだ。




「桝屋喜右衛門。
本名古高俊太郎正順。

表は古道具屋、裏では御上に楯突く不逞の浪士を匿う勤皇の志士。

んで、隠し戸に武器弾薬…。
すげぇ店だなぁ?」




鬼の本気。


古高はまるで捕らえられたカエルの様な。



いつも以上に低く、冷たく卑下する様に話す土方。



少し鳥肌を浮かべたうでを抱えて蔵の壁に寄り掛かる。




「てめぇ自分が捨て駒って分かってんのか?」




見張り番の隊士も、叫び声とこの土方の声を耳にすると顔を青ざめさせる。



…嗚呼、これが、土方達の生きる時代なんだ。






< 147 / 325 >

この作品をシェア

pagetop