ワケがありまして、幕末にございます。
目的の場所にたどり着くと鈍いうめき声が聞こえた。
此処には土方がいる。
かといって土方が苦しんでいるワケではない。
「ぎィやあああアァぁああ!!!」
声の主は古高なのだ。
「桝屋喜右衛門。
本名古高俊太郎正順。
表は古道具屋、裏では御上に楯突く不逞の浪士を匿う勤皇の志士。
んで、隠し戸に武器弾薬…。
すげぇ店だなぁ?」
鬼の本気。
古高はまるで捕らえられたカエルの様な。
いつも以上に低く、冷たく卑下する様に話す土方。
少し鳥肌を浮かべたうでを抱えて蔵の壁に寄り掛かる。
「てめぇ自分が捨て駒って分かってんのか?」
見張り番の隊士も、叫び声とこの土方の声を耳にすると顔を青ざめさせる。
…嗚呼、これが、土方達の生きる時代なんだ。