ワケがありまして、幕末にございます。
「あぁ…、よりによって土方の雑用なんて…。
しかも“小姓”って戦えんのかよ…」
「つべこべ言わず早くしろ」
「チッ。
言われなくてもやってやるよ」
一睨みして土方の部屋から出る。
毒でも盛ってやろうか。
それともただの湯をくれてやろうか。
…ん?
炊事場に近付くにつれ見えてくる、誰かの背中。
サラサラとした長い髪から見え隠れする白い着流しの背中が。
「おーきーたさんっ。
何を食べてるんです?」
ビクッとしてそろ〜っと振り返る沖田さん。
「沖田さん…もしかして…」
「た、食べてない!
食べてないですよ!」
「そうですか〜」
「はいっ!
とっ、ところで愁くんはどうしたんですか?」
「黒デカにお茶を用意しなくてはいけなくなりまして」
湯呑みに湯を入れ、温めて。
茶葉を急須に入れて。
「黒デカ…あ、土方さんですか」
「えぇ」