甘く、甘い、二人の時間
「本当は納得いかないけど、とりあえず今は諦める。これ以上しつこくして嫌われたくないしな。」
まるで自分に言い聞かせる様に、ハンドルに腕を乗せ真っ直ぐ前を向いたまま康介は呟く。
そう。
康介は昔から優しくて、無理強いはしなかった。
ぐいぐい押してくるタイプじゃない。
「…ごめんね。」
ぽつりと呟くと、苦笑いを浮かべた康介に頭をくしゃっとされる。
「…バカ、謝るなよ。余計惨めになるだろ?」
「…あ。」
「‘…あ’って。菫は本当に、そういう気配りが出来ないよな…。」
「本当、私ダメダメみたい。」
自分で言って、情けなくなる。
だからこそ、拓海に会えば会う程、我慢してる事がばればれになるんだよね。
会えなくても私は大丈夫!って、伝えなくちゃダメなのに。
「あのさ、1つだけ覚えておいて。
――今度また泣いてたら、その時は譲らないから。やっぱり俺は菫が好きだし、菫に我慢させる彼氏なんて許せない。」
「え?」
真剣な声色に思わず康介を見ると、すごく真面目な顔で私を見つめていた。