甘く、甘い、二人の時間
何秒かの沈黙のあと、康介はふっと微笑み目線を外した。
「…とりあえず、今はその資料とやらを届けに行こう。」
そう私に告げると車のエンジンをかける。
「ちょっと待って!私自分で行くから。」
「ダメ。」
「ダメって康介…」
「菫、鏡見てみな?可愛い顔が台無しな位酷い。」
「!!?」
慌てて化粧ポーチから鏡を取りだし確認してみる。
確かに……。
また泣いたから、瞼が腫れたかも…。
どうしよう。
なんて考えてる内に、康介は車を発車させてしまい――
「今の内にせめて化粧やり直せば? 地下鉄じゃ出来ないだろ?」
「でも」
「大丈夫、俺は今日休みだから遠慮しなくていい。 あと、ちゃんと送り届けるから余計な心配もしなくていいよ。」
康介らしい紳士な態度に、素直に頷いてしまった。