甘く、甘い、二人の時間

何秒かの沈黙のあと、康介はふっと微笑み目線を外した。




「…とりあえず、今はその資料とやらを届けに行こう。」



そう私に告げると車のエンジンをかける。



「ちょっと待って!私自分で行くから。」

「ダメ。」


「ダメって康介…」



「菫、鏡見てみな?可愛い顔が台無しな位酷い。」


「!!?」




慌てて化粧ポーチから鏡を取りだし確認してみる。


確かに……。

また泣いたから、瞼が腫れたかも…。



どうしよう。


なんて考えてる内に、康介は車を発車させてしまい――




「今の内にせめて化粧やり直せば? 地下鉄じゃ出来ないだろ?」


「でも」



「大丈夫、俺は今日休みだから遠慮しなくていい。 あと、ちゃんと送り届けるから余計な心配もしなくていいよ。」




康介らしい紳士な態度に、素直に頷いてしまった。

< 120 / 209 >

この作品をシェア

pagetop