甘く、甘い、二人の時間
ぺこりとお辞儀をしてから近づいて来た。
菫が席を離れるのを待っていたらしい。
つまり、俺にだけ言いたい事があるわけだ。
「…突然すみません。」
「……」
何だか身構えてしまい、無言のまま目の前に立つ彼を見上げた。
「昨日、菫は泣いていました。」
「…ああ。」
「菫は理由は言いませんでした。でも、原因は」
「俺なんだろ?」
「…え?」
「心配してくれてありがとう。泣いた理由はちゃんと本人から聞いた。それと、泣いているところを君に見られて、心配されて、アパートまで送って貰ったって事も。」
「そう、ですか。」
康介君はそう呟き、少し肩を落とした。
「でもさ、全部は話して貰ってないと思う。」
「え?」
「泣いていた理由と送って貰った理由しか聞いてないんだ。」
「……」
「菫と何かあった?俺が君に会う事、嫌がっていたから。」
そう試すように質問すると、彼は、一瞬視線をさまよわせた。