亡國の孤城 『心の色』(外伝)
「………昔から…馬鹿しかやらかさねぇ………。…………そう冷静に思える今は………俺は随分と大人になったと思う。………でもな、グラッゾ……」
グラリ、とバレンの身体に真っ黒な闇が纏わりつき始めた。
両足から徐々に、闇はバレンをのみこんでいく。
「…………………そういう、大人になった今でも…………………やっぱり元から馬鹿は……………馬鹿しか出来ないらしい………」
「………バレン…?」
………何が言いたいのか分からない、支離滅裂な言葉の数々。
また戯言を、と流せる様なことだったが………それは妙に、奥底で流れに乗れず……引っ掛かった。
眉をひそめ、何だか……別人の様なバレンに声を掛けた直後…。
彼の全身はすっぽりと漆黒に染まった。
そしてそれは黒煙の様に立ち上ぼり………目の前から消え失せて行く。
微粒子さえも存在を“闇溶け”でかき消したバレンの声が、すぐ傍らから風の様に横切って行った。
「―――………馬鹿な俺を、お前は昔と同じ様に………………笑い飛ばしてろよ」
「………」
気配さえも消えてしまった室内で、グラッゾは無言で佇んでいた。
彼のいなくなった、物寂しい椅子を見下して、グラッゾは………………………奥歯を噛み締めた。
「……………馬鹿な事には変わりませんが………………笑えませんよ」