亡國の孤城 『心の色』(外伝)





―――……大事な用があるから、と…なんとも意味深な言葉を最後に付け足し、首を傾げるトウェインと『理の者』である少年を置いて……バレンは消えた。





無機質な冷たい闇の中に溶け込みながら、流されるまま、曖昧だが……固い決意を胸に抱き、瞼を開いた。



その瞳が微かな光を捉えた直後、誰もいない塔内の廊下に、“闇溶け”を解いたバレンは降り立った。

地下の方から人の気配がする。



………任務を終えた兵士や、待機を命じられた兵士、そして非戦闘員らがいるのだろう。

訓練中なのか、地下より上の階上には誰もいない様だ。





………天に近ければ近い程、妙に静かで………不気味で…。









ならばその天の一番近くにいるあの男は…………。
















「………孤高の人ってのは………………寂しいもんだな……」





塔の最上階である真上を見上げながら、バレンは苦笑した。

















―――その時。













地下に通じる長い階段から、一つの足音が聞こえたかと思うと、角の暗がりから、ひょっこりとオレンジのポニーテールが覗いた。



クリクリとした茶色の瞳はバレンを映すや否や、無邪気な子供の笑顔を浮かべて駆け寄って来た。

















「―――…バレン隊長、お菓子頂~戴~!」


目の前で立ち止まった少女は両手を上げて可愛らしく小首を傾げた。

………天真爛漫、という言葉を絵に描いた様なその姿に、バレンは笑みが零れた。








「………イブ…訓練さぼるなよ…」


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