亡國の孤城 『心の色』(外伝)
バレンはその場でしゃがみ、イブよりも目線が下の位置で彼女を見上げた。
………この子は、連れてこられてから……身長も、体重も……全く成長してない。
フェーラという生き物は、ある一定の時期を境目に、子供の体型から大人の体型へと変化するらしい。
その時期が来るまでは、この幼児体型のままなのだろう。
………人間に化けている今のこの姿はなかなかの美少女なのだから………大人体型の彼女はさぞや上玉の中の上玉に違いない。
………それまでは何も変わらぬ彼女だが………………随分と、中身は変わった。
(………よく、笑う様になった……)
人間不信は相変わらずの様だが………ここまで、明るくなった。
良い影響と環境が、彼女の頑なな心を解いたのだ。
自分もその一因であったら良いな、とは思う。
これからも、そうであり続けたい。
「お菓子~…」
………お菓子目当てでしか寄って来ないイブ。
すっかり餌付けしてしまったな…と苦笑しながら、バレンは彼女の明るい髪をクシャリと撫でた。
「………ごめんな。………あいにく、今は何も持ち合わせて無えんだ。………それと、当分はお菓子はあげられねぇ…」
「………なんでよ…」
貰えないどころか、当分おあずけと言われ、膨れっ面で睨んでくるイブ。
この子の食べ物に対する執念は恐ろしい。
バレンは困り顔で頭を掻き、何か思い付いた様に手を叩いた。