亡國の孤城 『心の色』(外伝)
剣を横に振ると、ヒュン…と空気を切り裂くのと同時に、赤い熱風と火の粉が舞い散った。
「………………愚かな男だな……」
クライブは、肩を震わせて、低い掠れた笑い声を漏らした。
暗がりの中で見える彼の笑みは、何だかやけに不気味で………形容しがたい恐怖を感じさせる。
「………あんた………ちゃんと笑えるじゃねぇか。………………だが……その顔は、俺は………」
……剣を構えたままグッと、身を屈め…。
「………何つーか、嫌いだ」
弾かれた様に、ブーツの底は床を蹴った。
凄まじい熱風と化したかまいたちが、佇むクライブ目掛けて一瞬で詰め寄る。
目にも止まらぬ速さで頭上に振り下ろされた、交差する二本の火柱。
焼け付く様な熱さが目前に迫った直後、クライブは、火柱を片手で持った一本の剣のみで受け止めた。
ギリギリギリ……という甲高い音が、双方とも微動だにしない押し合いによって奏でられる。
交差する二本の剣と、長めの重い一本の剣。
触れ合う部分からは、火花と火の粉が散った。
「………クライブ、どうした……」
………単なる押し合いが続く中、刃を逸らす事もなければ引いてもこない……一向に変化が見られないクライブに、バレンは剣を挟んだ向かい側から薄ら笑みを向けた。
「………………このまま押し合ってもいいけどよ………………あんた、火達磨になっちまうぜ………?」
楽しげに言うバレン。
…その言葉通り、クライブの周囲には、ある異変が起こっていた。