亡國の孤城 『心の色』(外伝)


クライブの剣を中心に、バレンの姿は完全なる炎と化し、細かな火の粉となって空気中に拡散した。


……その途端、部屋中を旋回していた炎の激流が、急に向きを変えて奥へ…。













………もの言わぬ、肖像画へまっしぐらに飛んでいった。


赤い風は天井と壁に黒い焼け跡を残し、シャンデリアの細かな装飾を溶かし……。

………寡黙な女の冷たい絵画を飲み込む勢いで、突っ込んだ。
















―――が、空気を燃やすその凄まじい熱気が触れるか否かという直前、生きた炎の目前に、肖像画を庇う様に巨大な魔方陣が出現した。



ぼんやりと黒光りする魔方陣は一瞬で発動し、原型も何も無い炎を弾き返した。




炎は辺りに分散し、再び室内を回り始める。












………その部屋の一角で、火柱が生えたかと思うと、徐々に人型に変化し………それは先程同様にほくそ笑む男の姿を形取った。







「……………危なかったなぁ……クライブ。……………ハハッ………何をそんなマジな面してやがる………」





バレンとは反対側の部屋の角には、黒の魔術である闇を纏った片手を伸ばして佇むクライブ。


……彼は相変わらずの無表情だったが……………白髪の隙間から見えるその眼光は鋭く、そして………揺れていた。




















………こいつ……。

















(………………動揺…してるのか……)










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