亡國の孤城 『心の色』(外伝)
「………やっぱりなぁ……あんたがそんな目をするくらいだ…………よっぽど、大事なんだな?」
「………」
微かに、クライブは眉をひそめた。
バレンを睨んだまま腕を下ろしたが、纏った闇はそのままだ。
「………あ…決めた」
良い考えが浮かんだ、とばかりにバレンは無邪気な笑みを見せ、肖像画に視線を移した。
「―――………あんた殺る前に、この絵から燃やしちまおう」
―――突如。
全身に突き刺さったのは……。
……………殺気。
悍ましい、凍て付いた殺気。
―――視線。
突き刺さる視線の根源に、ゆっくりと顔を向けて………バレンは、やはり微笑んだ。
憎悪のまなざしを向ける男が、クライブが………自分を見ている。
睨んでいる。
普段感情を露わにしない彼がやっと見せてくれた………待遠しかった感情。
本気の、奴。
「―――………しの………………るな」
………くぐもった声で小さく呟くクライブ。
その低い声音は、心なしか…震えている様にも思えた。
「………何だって…?」
笑いながら聞き返した途端。
闇を纏った彼の拳は………。
―――ダンッ…!……と、壁を殴った。
焼け跡の浮かぶ壁に、彼の拳を中心に深い亀裂が生じる。
同時に、その周囲の天井や壁に、小さなクレーターが幾つも重なって現れた。
………小刻みに震えるクライブ。
こちらを真直ぐ見詰め…。