使者の黙示録
野瀬は、団司を目の当たりにしてから、団司という人間がますます分からなくなってくる。


そうこうするうちに

少女たちの姿は、彼らの視界から去って行く。

団司は2人のシスターを追うことなく、ずっと灰皿の傍にいるままだ。

話すのに夢中になっている団司のタバコは、とっくに灰になっている。


「そろそろ行くか」


話を終えた団司は、そのタバコを灰皿にすててアーケードの方へ足を進める。


だが、いまさら団司がシスターたちの後を追いかけるとは思えない。

少女たちと接触するのであれば、とっくに動いているだろう。

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