赤い下着の主

「先生、好きです」

「え……?」

「俺、マジで先生のこと好きです」

「そんなこと、言われても……」

「余計なことは言わないから、気持ちだけ受け取って」

 思うのは自由。

 思われるのは不可抗力。

 驚いたり拗ねたり拗ねられたり、そんなやり取りが出来るのも、こうして素肌に触れることが出来るのも、学校で自分だけだと噛み締める。

 キスをするたびに巻きつく彼女の腕の温もりを刻み込む。

 同年代の女とは違う肌の感覚にのめり込む。

「先生は俺のことどう思ってるの?」

 なんて絶対に聞かないよう細心の注意を払う。

 これはいつか、卒業した後に聞けば良い。

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