赤い下着の主

 美奈実は力なく笑う演技をして、立ったまま答えた。

「個人的に、何度か彼を部屋に招き入れたことがあります」

 高澤の眉間に再びしわが寄る。

「しかしそれは、セックスをするためではありません」

 高澤は直接的な言葉に怯んだようだった。

「では、何を?」

「勉強です」

 高澤は目を丸くした。

「勉強?」

「ええ、個人的に古典を教えていました。申し訳ありません」

 だって、私たちは教師と生徒。

 そう考えるのが、普通ではありませんか?

 高澤先生。

「もちろん、その謝礼や報酬として金品を受け取ったりはしておりませんので、ご安心ください」

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