赤い下着の主

 目的地までは約数十メートル。

 距離だけでいえば数メートルだが、道のりとなると何倍にもなる。

 はやる気持ちが自然と足を走らせた。

 時間にすると、一分にも満たない。

 狙いを定めていた、自室から見て右から二列目の二階。

 ここからだと、左から二列目。

 一旦呼吸を整えて、建物へ入り込む。

 エレベータの中で今更緊張してきたが、こうなればもう勢いだけ。

 表札も何もない、深いグリーンのドアの横についている呼び鈴を

 強めに押した。

 ピンポーン ピンポーン

 音が二回鳴ると、間もなくしてドアが開く。

「やっぱり、そんな気がしてた」

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