赤い下着の主

 玉置は優を見上げると、驚きもせずに微笑んだ。

 黒の大人っぽいチュニックとジーンズを身に纏う彼女は、優が来ることを予測して着替えていたものと見られる。

「期待してました? 俺が来ること」

 試しにそう聞いてみると、

「バカね。期待も何も、来ますって言ったようなもんじゃない」

 と笑う。

 やはり優の意思は伝わっていた。

 ならば、話は早い。

 どうぞ、と言葉にはしないが、玉置はドアを大きく開けることで優を招き入れた。

 部屋はほのかにグレープフルーツの香りがする。

 狭い玄関、玉置がドアを閉め、鍵をかける。

 カチャ

 という音が、合図だった。

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