赤い下着の主
美奈実が担当しているのは、一年生の古典。
文法の説明をしながら、「枕草子」から引用した短い文を読む。
大学を卒業してからずっとこの道にいる教師にとっては雑作もないことなのかもしれないが、美奈実にとってはかなり労力を使う仕事である。
いかんせん文学から何年も離れていたし、教育実習以来の授業にはやっと最近慣れてきた。
毎日毎日予習に予習を重ね、何週間も前から準備をして今日の授業になる。
それでも顧客の都合で遅くまで頭脳をフル回転しなければならない前職に比べれば、いくらか楽ではある。