憧れの彼と恋する方法
「何なんだ?」
とりあえず、訳も分からないまま準備を始めた。
「髪は、昨日洗ったみたいだなぁ」
肩まで伸びた髪の毛を触り、そう呟く。
顔を洗い、着替えをしていると再び着信音が鳴り響いた。
「はい」
「準備できた?できたら降りてきてね」
「あのさ…」
「ガチャン…」
また、有無を言わさず電話を切られた。
「舞台の時間、聞き間違えたかなぁ?」
ブツブツ言いながら、メイク道具が入っている愛用の大きなバックを手に取り家を出た。
エレベーターを降りアパートの前に出ると、其処には赤いかわいらしい車が止まっていて、運転席には大きく手を振る舞美の姿が。
「…はい??何、この車…」
なんとなく、恐る恐る近づく。
運転席から、早く乗れと言わんばかりに舞美が助手席を指差した。
私はピカピカに光る車を疑いの目で眺めながら、助手席に乗り込んだ。